はるか日和

映画、ドラマ、漫画、アニメ、Amazonプライムについて話します。基本ネタバレあるよ!よろしくお願い致します。

凶悪(2013)

★★★★☆

【あらすじ】
実話に基づいたフィクション。
スクープ雑誌ジャーナリスト藤井(山田孝之)は、上司から一通の手紙を受け取り東京拘置所へ。
その手紙は、元暴力団員で現在死刑囚の須藤(ピエール瀧)からのものだった。
須藤は、自分の罰せられた複数の事件には首謀者がいると言う。首謀者・木村(リリー・フランキー)は未だシャバにおり、須藤はそれが許せない。よって、木村についての真実を明るみにし、記事にして欲しいと申し出てきたーーー。

【感想】
面白かったです。
日活というとロマンポルノのイメージが強かったので、エロもグロも結構きつめかな?って思って見ましたが、割とさっぱり描かれてます。でも暴力表現やエロシーンはそこそこあるので、苦手な人は注意です。

見終わった最初の感想は、正義感故の徹底攻撃って怖いなあと言うことでした。最後のリリー・フランキーの所作がそう思わせたのでしょうね。
藤井は真実を暴き自分の正義を貫きましたが、正義感に酔ってる部分も見られました。
昨今は現実世界でもネット上でも、「非があるやつはいくらボコっても良い」という勧善懲悪的な風潮があるので、それに似た怖さを少し感じました。(勧善懲悪ってほんとはそういう意味じゃないけど、最近の解釈的には伝わるよね)

あとは、実行する側と間接的に影響する側の作り。
須藤と木村は、殺人実行側と指揮する側。
藤井と会社の上司は、現場に行く側と雑誌にまとめる側。
また、藤井は実母の介護の問題で嫁とモメるシーンがよく出ますが、
これも、直接的に介護する側と現実から逃げて影響を及ぼす側。
ここの関係性の作りが上手でした。
間接的に関わる側はいつだって当事者程の危機感が無いんです。でも確実に影響している。
その事をこの3パターンで上手に表していたと思います。

余談ですが、藤井は実母を介護施設に入れることへの罪悪感から逃げていました。
介護施設に入れることってそんなに悪いことでしょうか。
私は長年医療関係の現場に勤めていましたが、
ちゃんとした施設を選べば、そんな罪悪感なんて抱かなくて良いと思うのです。
認知症を理解するのにはきっと時間がかかるし、身内だからこそ認めたくなかったり腹が立つ部分もあるでしょう。
それでお互い嫌い合うよりは、離れてその道のプロに任せるべきです。
介護疲れで鬱になった働き盛りのご家族をたくさん見てきました。楽になって良いんですよと言いたい。
その為には、医療職介護職の給料上げてもらって、質の良いスタッフを得ることも課題ですが。

話が逸れました。
これにて失礼致します。